ALK陽性肺がん、ロルラチニブの1次治療が有効性示す、とくに脳転移(CROWN試験)/ESMO2020

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2020/10/02

 

 未治療のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)においてロルラチニブとクリゾチニブを比較する多施設非盲検無作為化第III相CROWN試験の中間解析が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)にて、オーストラリア・Peter MacCallumがんセンターのB. Solomon氏により発表された。

・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)
・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)
・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性

CROWN試験の結果はALK陽性非小細胞肺がんでのロルラチニブ使用を支持するもの

 CROWN試験の中間解析の主な結果は以下のとおり。

・対象患者296例は、無作為にロルラチニブ群(n=149)とクリゾチニブ群 (n=147)に割り付けられた。
・BICR評価のPFSは、ロルラチニブ群NE(推定不能)、クリゾチニブ群9.1ヵ月と、ロルラチニブ群で有意に延長された(HR:0.28、95%CI:0.19〜0.41、p<0.001)。12ヵ月PFS率は80%対35%であった。
・治験担当医によるPFSは、ロルラチニブ群NE(推定不能)、クリゾチニブ群9.3ヵ月と、ロルラチニブ群で有意に改善された(HR:0.21、95%CI:0.14〜0.31、p<0.001)12ヵ月PFS率は80%対35%であった。
・OSは両群とも中央値未達であった。
・BICR評価のORは、ロルラチニブ群76%、クリゾチニブ群58%であった。
・BICR評価のIC-ORは、ロルラチニブ群66%、クリゾチニブ群20%、測定可能病変だけ見るとロルラチニブ群71%、クリゾチニブ群8%と、その差はさらに大きかった。
・Grade3/4の有害事象(AE)は、ロルラチニブ群では72%、クリゾチニブ群56%であった。そのうちロルラチニブ群で最も頻度の高かった項目は脂質異常であった。AEのため中止に至った割合はロルラチニブ群7%、クリゾチニブ群9%であった。

 Solomon氏は、CROWN試験の結果は、ALK陽性非小細胞肺がん1次治療でのロルラチニブ使用を支持するものであると述べた。

(ケアネット 細田雅之 )

参考文献・参考サイトはこちら