パルボシクリブ+フルベストラント、内分泌療法感受性のHR+/HER2-進行乳がんでPFS延長(FLIPPER)/ESMO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/05

 

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)、内分泌療法感受性の閉経後進行乳がん患者に対する一次治療として、CDK4/6阻害薬パルボシクリブとフルベストラントの併用療法が、フルベストラント単剤療法と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。スペイン・Hospital del MarのJoan Albanell氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で第II相FLIPPER試験の早期解析結果を発表した。

 第III相PALOMA-3試験において、内分泌療法抵抗性の患者に対するパルボシクリブ併用療法の有効性が示され、標準治療となっている。FLIPPER試験は、de novo症例または5年以上の術後内分泌療法を完了してから>12ヵ月後に再発した閉経後HR+/HER2-進行乳がん患者を対象とした、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

・対象:de novo症例または5年以上の術後内分泌療法を完了してから>12ヵ月後に再発した、HR+/HER2-乳がん患者(閉経後女性、再発後の治療歴なし、ECOG PS≦2)
・試験群:以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け
パルボシクリブ併用群:28日を1サイクルとし、パルボシクリブ(125mgを3週投与、1週休薬)+フルベストラント(500mgを1サイクル目のみ1日目と15日目、以降1サイクル毎1回投与) 94例
プラセボ群:28日を1サイクルとし、プラセボ+フルベストラント(500mgを1サイクル目のみ1日目と15日目、以降1サイクル毎1回投与) 95例
・層別化因子:内臓 vs.非内臓転移、de novo vs.再発転移
・評価項目:
[主要評価項目]1年時のPFS率(RECIST1.1による治験責任医師評価)
[副次評価項目]PFS中央値、OS、客観的奏効率(ORR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・2016年2月~2019年1月、189例が無作為化された。
・年齢中央値は64歳、60.3%が内臓転移を有し、45.5%がde novo症例。両群のベースライン特性はバランスがとれていた。
・主要評価項目である1年時のPFS率(追跡期間中央値28.6ヵ月)は併用群83.5%(80%信頼区間[CI]:78.5~88.5) vs.プラセボ群71.9%(80%CI:65.8~77.9)。ハザード比[HR]:0.55、80%CI:0.36~0.83、p=0.064で、事前に設定された境界値(HR:0.6、検出力:80%、両側検定α=0.2)を満たした。
・副次評価項目であるPFS中央値は、併用群31.8ヵ月(80%CI:30.3~33.4) vs.プラセボ群22ヵ月(80%CI:18.5~25.1)であった(HR:0.52、80%CI:0.39~0.68、p=0.002)。
・1年時のPFS率を層別化因子ごとに解析した結果、内臓転移を有する患者(併用群81.8% vs.プラセボ群69.6%[HR:0.55、p=0.1397])およびde novo症例(90.5% vs.60.2%[HR:0.20、p=0.004])において併用群で有意な改善がみられた。
・ORRは、併用群68.3% vs.プラセボ群42.2%[オッズ比[OR]:2.9、p=0.004])。CBRは、90.4% vs.80.0%[OR:2.3、p=0.048])であった。
・頻度の高いGrade2/4の非血液毒性は、倦怠感(併用群12.8% vs.プラセボ群5.3%)、下痢(併用群3.2% vs. 2.1%)であった。
・頻度の高いGrade3/4の血液毒性は、好中球減少症(併用群68.1% vs.プラセボ群0%)、白血球減少症(26.6%vs.0%)およびリンパ球減少症(14.9% vs.2.1%)であった。好中球減少症や治療に関連した死亡例の報告はなかった。

(ケアネット)

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