九州大学・米嶋 泰忠氏が、既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるドセタキセル単剤に対するnabパクリタキセルの効果と安全性を検証したJ-AXEL試験の結果を第61回日本肺癌学会学術集会にて発表した。J-AXEL試験はわが国の8つの臨床試験グループが参加した無作為比較第III相である。
J-AXEL試験でnabパクリタキセルの非劣性が証明された
対象:既治療(2レジメン以内)の進行NSCLC患者
試験群:nabパクリタキセル(n-PTX)
対照群:ドセタキセル(DTX)
評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)非劣性検証
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効割合(ORR)、安全性、QOLなど
非小細胞肺がんにおけるドセタキセル単剤に対するnabパクリタキセルの効果と安全性を検証したJ-AXEL試験の主な結果は以下のとおり。
・2015年5月〜2018年3月に、503例が登録され、ドセタキセル群(251例)とnabパクリタキセル群(252例)に無作為に割り付けられた。
・OS中央値はnabパクリタキセル群16.2ヵ月、ドセタキセル群13.6ヵ月。HRは0.85(95.2%CI:0.68〜1.07、p=0.163)で、許容HR上限の1.25を達成したためドセタキセルに対するnabパクリタキセルの非劣性が証明された。一方、優越性は証明されなかった。
・PFS中央値はnabパクリタキセル群4.2ヵ月、ドセタキセル群3.4ヵ月で、nabパクリタキセル群で有意に良好であった(HR:0.76、95%CI:0.63〜0.92、p=0.0042)。
・ORRはnabパクリタキセル群29.9%、ドセタキセル群15.4%とnabパクリタキセル群で有意に良好であった(p=0.0002)。
・nabパクリタキセル群で有意に多かった有害事象(AE)は末梢神経障害(55.5%対20.1%)、ドセタキセル群で有意に多かったAEは白血球減少(74.4%対90.4%)
最後に、nabパクリタキセルは既治療の進行NSCLCに対する選択肢の1つであることが示されたと米嶋氏は述べた。
(ケアネット 細田 雅之)