塩野義製薬の納谷 憲幸氏らは、日本人成人の注意欠如多動症(ADHD)患者に対するグアンファシン徐放製剤(GXR)の有効性と安全性を評価した第III相二重盲検プラセボ対照ランダム化試験の事後分析を行い、ADHDサブタイプ(混合型、不注意優勢型)、年齢(31歳以上、30歳以下)、性別、体重別(50kg以上、50kg未満)のGXRの有効性および安全性について、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年12月10日号の報告。
有効性の主要エンドポイントは、成人用ADHD評価尺度ADHD-RS-IV with adult prompts日本語版合計スコアのベースラインから10週目までの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・有効性の分析は、200例(GXR群:100例、プラセボ群:100例)で実施した。
・ADHD-RS-IV合計スコアのエフェクトサイズは、すべてのサブグループで類似していた。
●全体:0.52
●ADHD混合型:0.51
●ADHD不注意優勢型:0.52
●31歳以上:0.61
●30歳以下:0.47
●男性:0.50
●女性:0.57
・治療による有害事象(TEAE)の発生率や種類は、サブグループ間で大きな違いは認められなかった。
・重大なTEAE(男性:10.6%、女性:34.3%)およびTEAEによる治療中止(男性:12.1%、女性:34.3%)の発生率は、男性よりも女性において約3倍高かった。
・体重別のTEAE発生率は、用量調節期間、維持期間でそれぞれ以下のとおりであった。
●50kg未満:100%(用量調節期間)、40%(維持期間)
●50kg以上:73.6%(用量調節期間)、24.4%(維持期間)
著者らは「本事後分析の結果では、ADHDサブタイプ、年齢、性別に関係なくGXRの有効性および安全性が裏付けられており、必要に応じてTEAEとGXRの用量最適化を注意深くモニタリングする必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)