SSRI治療の有効性と忍容性の性差

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/01

 

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による治療後における抑うつ症状や忍容性の性差は、セロトニン作動性神経伝達の違いが影響している可能性がある。英国・Enfield and Haringey Mental Health NHS TrustのMarilia Gougoulaki氏らは、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)治療と比較し、SSRI治療後に女性は男性よりも抑うつ症状の改善が大きいかについて、調査を行った。また、忍容性および閉経状態の影響についても併せて調査を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2021年2月26日号の報告。

 うつ病における治療反応の遺伝的および臨床的予測因子を検討したGENPOD試験の2次分析を実施した。英国プライマリケアうつ病患者601例を対象に、SSRI(citalopram)群またはNRI(reboxetine)群にランダム化した。主要アウトカムは、6週間後のベックうつ病質問票(BDI-II)スコアとした。副次的アウトカムは、12週間後のBDI-IIスコアおよび身体症状、治療中止とした。主要効果および交互作用項の算出には、線形およびロジスティック回帰モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・SSRI群では、NRI群と比較し、女性が男性よりも抑うつ症状の改善が大きいことを示す証拠は認められなかった。
・抗うつ薬クラスとは無関係に、6および12週間後の性差を示す証拠も認められなかった。
 ●6週間後、女性よりも男性のBDI-IIスコアは低かった(-0.31、95%CI:-2.23~1.62)
 ●12週間後、女性よりも男性のBDI-IIスコアは低かった(-0.44、95%CI:-2.62~1.74)
・身体症状、治療中止においても性差を示す証拠はなく、閉経状態の影響も認められなかった。

 著者らは「女性に対するSSRI治療は、男性と比較し、有効性および忍容性に関する差は認められなかった。SSRI治療後の予後については、抗うつ薬クラスに関係なく、男女間で差は認められず、閉経状態の影響も認められなかった」としている。

(鷹野 敦夫)