スペイン・Hospital Universitari Vall d'HebronのMarta Torres-Ferrus氏らは、難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体の効果について、評価を行った。Journal of Neurology誌オンライン版2021年3月27日号の報告。
対象は、1ヵ月間に8日以上の頭痛が認められ、3回以上予防薬を服用しなかった片頭痛患者。人口統計学的、医学的情報および片頭痛の病歴を収集した。ベースライン時および12週間後に電子頭痛日誌を用いて患者報告アンケートを実施し、1ヵ月間の頭痛日数、1ヵ月間の片頭痛日数、痛みの強さ(0~3の数値回答)、鎮痛薬の使用に回答した。患者は、改善頻度に応じて、治療反応50%以上、75%以上、100%に分類された。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者は、合計155例(erenumab:109例、ガルカネズマブ:46例)であった。
・ベースライン時と比較して、12週間後の頭痛の頻度は-9.1日/月、片頭痛の頻度は-8.5日/月であった。
・頭痛の日数が50%以上減少した患者の割合は39.5%、片頭痛の日数が50%以上減少した患者の割合は51.6%であった。
・片頭痛の治療反応が50%以上であった群では、ベースラインからの頻度の減少は-13.9日/月であり、患者が報告したすべての結果において明らかな改善が認められた。
・頭痛の日数が75%以上減少した患者の割合は14.2%、片頭痛の日数が75%以上減少した患者の割合は26.5%であった。
・片頭痛の日数が100%減少した患者の割合は11.0%であった。
・他の予防薬を使用していなかった患者では、重度の障害が少なく、頭痛に対する片頭痛の割合が高く、片頭痛の治療反応が50%以上である可能性が高かった。
・主な有害事象は、便秘(20.0%)、倦怠感(7.1%)一過性の血圧上昇(5.2%)であり、重篤な有害事象は認められなかった。
著者らは「難治性片頭痛患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体による治療は、実臨床において効果的であることが確認された」としている。
(鷹野 敦夫)