東京医科大学の井上 猛氏らは、日本における双極性障害患者に対する治療パターンと服薬アドヒアランスについて調査を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2021年3月18日号の報告。
株式会社JMDCの雇用関連レセプトデータベースを用いて、2013年7月~2018年2月に双極性障害と診断された成人患者を特定した。気分安定薬または抗精神病薬の治療パターンとアドヒアランス(proportion of days covered:PDC[処方日数を調査対象期間の日数で除した割合]で測定)について、フォローアップ期間中の1~3年目に評価した。患者サブグループのアドヒアランスについても評価した。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象の双極性障害患者数は、1万3,788例であった。
・3年間のフォローアップ期間中に使用された主な治療薬は、バルプロ酸、リチウム、アリピプラゾール(各々、21.1~27.4%の範囲)、ラモトリギン(11.2~12.8%の範囲)であった。
・ベンゾジアゼピン(70~87%の範囲)および抗うつ薬(52~71%の範囲)は、フォローアップ期間中に一般的に使用されていた。
・すべての双極性障害患者における平均PDCは、1年目の0.51から3年目の0.61へと上昇していた。
・1年目の平均PDCは、30歳未満の患者で0.42、30~40歳で0.49であった。
・PDCは、薬剤によって異なるものの、単剤療法の患者で0.44~0.61、2剤併用の患者で0.68~0.83であった。
著者らは「双極性障害患者(とくに若い患者)では、服薬アドヒアランスが低いことが示唆されており、より注意深く観察する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)