米国・ファイザー社は、7月28日に発表した第2四半期決算報告会議で、同社の新型コロナワクチンについて、3回接種により、デルタ変異株に対する中和抗体価が大幅に増強されることを示した研究データを公表した。同社は、現在推奨されている2回接種後6〜12ヵ月以内に3回目のブースター接種が必要になる可能性が高いと説明しており、8月中にも米食品医薬品局(FDA)に対し、追加接種の緊急使用許可の承認申請を行う方針だ。
ファイザー社が明らかにした研究データは、ごく少人数のコホート(18~55歳:11例、65~85歳:12例)ながら、3回目のブースター接種を受けることで、「デルタ株」への中和抗体価が2回接種と比べ、18~55歳では5倍以上、65~85歳では11倍以上に高まっていることを示した。同社では、2回接種から8ヵ月後には抗体レベルがピークアウトするため、2回目接種から6〜12ヵ月以内に3回目のブースター接種が必要になる可能性が高いとの見立てだ。本研究では、2回目接種から6ヵ月以上経過した後、保護効果が減弱し始めているときに3回目を接種することで、中和抗体価を最大100倍にまで高める可能性が推定されるとしている。
デルタ株を巡っては、国民の大部分でワクチン接種が進んだ国々でも感染拡大が喫緊の課題になっている。米国では、今年5月にワクチン接種済みならばマスク不要としていたCDCの指針が、7月28日付で発表された改訂により、接種済みであっても屋内のマスク着用を求める内容に再び変更された。一方イスラエルでは、疾患や治療により免疫系が低下した人を対象に、すでに3回目のブースター接種を開始しており、高齢者への対象拡大も検討している。
(ケアネット 鄭 優子)