統合失調症の認知機能障害には、心理的ストレスと免疫系が関連しているといわれている。中国・電子科技大学のQi Zhang氏らは、機械学習アルゴリズムを用いて、慢性期統合失調症の認知機能障害とストレス免疫ネットワークパターンとの関連を調査した。Neuroscience Letters誌オンライン版2021年6月24日号の報告。
慢性期統合失調症患者37例および年齢、性別がマッチした健康対照者35例を対象に、認知機能障害とストレス免疫ネットワークパターンとの関連を明らかにするため、機械学習アルゴリズムを用いて分析を行った。統合失調症患者の心理的ストレスと免疫系に対する機能不全を反映する生化学的指標として、コルチゾール、腫瘍壊死因子(TNF)-α、インターロイキン(IL)-2、IL-6、IL-8を選択した。
主な結果は以下のとおり。
・コルチゾール、TNF-α、IL-2、IL-6、IL-8における14種類の相互作用に基づいて、以下の機械学習アルゴリズムを用いて分析を行ったところ、コルチゾール×TNF-α×IL-8が慢性期統合失調症を特定するための最大のリスク因子であることが示唆された。
●デシジョンツリー(精度:93.1%、感度:97.3%、特異性:88.6%)
●ランダムフォレスト(精度:94.4%、感度:91.9%、特異性:97.1%)
●サポートベクターマシン(精度:98.6%、感度:100.0%、特異性:97.1%)
・コルチゾール×TNF-α×IL-8とPANSS認知機能サブスコアとの間に正の相関が認められた。
・ステップワイズ線形重回帰分析では、PANSS認知機能サブスコアは、罹病期間およびコルチゾール×TNF-α×IL-8と相関していることが示唆された。
著者らは「慢性期統合失調症の認知機能に対し、糖質コルチコイドと免疫との関連が影響を及ぼしていることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)