周産期うつ病は、心身に重大な影響を及ぼすメンタルヘルスの問題であり、非常にまん延している疾患である。周産期うつ病の治療において、効果的な心理学的介入に関するエビデンスは増加しているものの、これらの調査結果は、包括的に評価されていない。ポルトガル・コインブラ大学のMariana Branquinho氏らは、周産期うつ病に対する心理学的介入の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2021年8月1日号の報告。
成人女性の周産期うつ病(妊娠中および産後12ヵ月間)の治療における心理学的介入の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。2020年5月までに公表された文献を、各種データベース(MEDLINE[PubMed]、PsycINFO、Cochrane Library、Web of Science、Prospero)より検索した。独立した2人の研究者により、データの抽出、統合および方法論的な質の評価(AMSTAR-2)を行った。
主な結果は以下のとおり。
・7つのシステマティックレビューが抽出された。
・全体として、周産期女性の抑うつ症状軽減に対する、短期および長期の心理学的介入の有効性が示唆された。
・認知行動療法(CBT)は、最も効果的な介入であることが明らかとなった。これは、治療様式とは無関係に認められた。
・方法論的な質は、低いと評価された。
・本分析には、灰色文献は含まれておらず、一部の研究はシステマティックレビュー間で重複している可能性がある。
著者らは「周産期うつ病に対する最もエビデンスに基づいた心理学的介入は、CBTである。CBTは、個人またはグループ、対面またはインターネットベースなどさまざまな様式で実践可能である。今後は、第3世代CBTなどの他の心理学的介入を用いた、質の高いシステマティックレビューを含む研究が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)