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不安、うつ、ストレスと舌痛症との関連

舌痛症は、臨床的に明らかな原因疾患を認めないにもかかわらず、口腔内における重度の熱傷を特徴とする痛みを伴う疾患である。舌痛症の原因の1つとして、メンタルヘルスの状態が影響を及ぼしている可能性が示唆されている。ブラジル・Federal University of CearaのCassia Emanuella Nobrega Malta氏らは、舌痛症と不安、うつ、ストレスとの関連を調査した。General Dentistry誌2021年7・8月号の報告。
60例の患者を舌痛症群、口腔内良性病変群(不安症状を有する対照群)、健康対照群(不安症状のない対照群)の3群に割り当て、ケースコントロール研究を実施した。ビジュアルアナログスケール(VAS)、ベックうつ病評価尺度、Lipp Stress Symptoms Inventory、Xerostomia Inventory-Dutch Version、舌痛症アンケートを用いて評価を行った。統計分析には、Kruskal-Wallis with Dunn post hoc、Pearsonカイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定、多項ロジスティック回帰テストを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・ほとんどの患者は、女性であった。
・舌痛症群では、他の2群と比較し、以下の患者の割合が高かった。
●60歳以上の患者(p=0.008)
●VASスコアの高い患者(p<0.001)
●中等度~重度の不安神経症患者(p<0.001)
●うつ病患者(p<0.001)
・舌痛症群では、警告期(p=0.003)、抵抗期(p<0.001)、疲はい期(p<0.001)におけるストレス率が高かった。
・すべての舌痛症群において、灼熱感と口内乾燥が認められ、口渇感(90%)、味覚の変化(80%)も高率で認められた。これらの報告数は、対照群と比較し有意に多かった(各々、p<0.001)
・不安症状は、舌痛症の独立した発症リスクであることが示唆された(123.80倍、p=0.004)。
著者らは「メンタルヘルスの状態は、舌痛症の発症と直接的に関連しており、なかでも不安症状は最も重要な因子であると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)
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