アテゾリズマブの術後補助療法の有効性は症例タイプによって変わるか(IMpower010)/WCLC2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/24

 

 IMpower010試験で示された、アテゾリズマブによるStage II~IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性が、大きな反響を呼んでいる。このアテゾリズマブの術後補助療法の成績は症例タイプによって違いはあるのか、探索的研究が世界肺癌学会(WCLC2021)で発表された。


ゾリズマブの術後補助療法を追加した試験群、ほとんどの症例タイプでDFSを改善

 その結果、ほとんどの症例タイプにおいて、アテゾリズマブの術後補助療法の追加により、無病生存期間(DFS)が改善した。

・対象:Stage IB~IIIAで術後化学療法(プラチナ+ペメトレキセド/ドセタキセル/ゲムシタビン/ビノレルビン)を21日ごと最大4回サイクル受けた完全切除NSCLC患者(ECOG PS 0~1)
・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日 3週ごと16サイクル(Atezo群)
・対照群:ベストサポーティブケア(BSC群)
・評価項目
[主要評価項目]治験責任医評価のDFSと全生存期間(OS)
[副次評価項目]Stage II~IIIAのPD-L1(TC)≧1%のDFS、Stage II~IIIA全患者の DFS、ITT集団(Stage IB-IIIA)のDFS、ITT集団のOS(階層的に検証)、安全性

 アテゾリズマブの術後補助療法の成績は症例タイプによって違いがあるのか研究した主な結果は以下のとおり。

[Stage II~IIIA PD-L1≧1%]
・臨床病期別のDFSのハザード比(HR)は、Stage IIAで0.73、Stage IIBで0.77、IIIAでは0.62であった。
・リンパ節病変別のDFS HRはN0 で0.86、N+では0.62であった。
・手術タイプ別のDFS HRは肺葉切除で0.63、肺全摘で0.83、2肺葉切除では0.78であった。
・化学療法レジメン別のDFS HRは、シスプラチン+ドセタキセルで0.60、シスプラチン+ビノレルビンで1.14、シスプラチン+ペメトレキセドでは0.66であった。

[Stage II~IIIA すべての無作為化患者]
・臨床病期別のDFS HRは、Stage IIAで0.68、Stage IIBで0.88、IIIAでは0.81であった。
・リンパ節病変別のDFS HRはN0 で0.88、N+では0.76であった。
・手術タイプ別のDFS HRは肺葉切除で0.77、肺全摘で0.91、2肺葉切除では1.02であった。
・化学療法レジメン別のDFS HRは、シスプラチン+ドセタキセルで0.72、シスプラチン+ビノレルビンで0.94、シスプラチン+ペメトレキセドでは0.84あった。

 Stage I~IIIAのPD-L1≧1%および全集団において、ほとんどの症例タイプ(臨床病期、リンパ節浸潤の有無、手術タイプ、化学療法レジメン)で、アテゾリズマブ群がDFSの改善傾向を示していた。

(ケアネット 細田 雅之)

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