完全切除非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアテゾリズマブの術後補助療法を評価した第III相非盲検試験IMpower010の全生存期間(OS)の中間解析が発表された。PD-L1≧1%のStage II〜IIIA集団において、アテゾリズマブはBSCよりも良好な傾向を示した。
IMpower010のOS中間解析はPD-L1≧1%でアテゾリズマブが良好
中間解析でアテゾリズマブの術後補助療法はStage II~IIIAの無病生存期間(DFS)を有意に改善に改善した。しかし、前回の中間分析の時点ではOSは未達成であった。世界肺癌学会(WCLC2022)では、OSと安全性の評価がスペイン・Vall d’Hebron大学病院のE.Felip氏から発表された。
・対象:UICC/AJCC第7版定義のStage IB~IIIAのNSCLC、手術後にシスプラチンベースの補助化学療法(最大4サイクル)を受けた1,005例
・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日3週ごと16サイクルまたは1年
・対照群:BSC
・評価項目
[主要評価項目]治験医師評価による階層的DFS:(1)PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIA集団、(2)Stage II~IIIA全集団、(3)ITT(Stage IB~IIIA全無作為化)集団
[副次評価項目]ITT集団の全生存期間(OS)、PD-L1 TC≧50% Stage II~IIIA集団のDFS、全集団の3年・5年DFS
IMpower010のOS中間解析の主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は45.3ヵ月であった(データカットオフ2022年4月18日)。
・PD-L1 TC≧1%のStage II~IIIA集団におけるOS中央値は、アテゾリズマブ群、BSC群とも未到達、36ヵ月OSはそれぞれ82.1%と78.9%であった(HR:0.71、95%CI:0.49~1.03)
・全無作為化集団(Stage II〜IIIA)のOS中央値は、アテゾリズマブ群、BSC群とも未到達(HR:0.95、95%CI:0.74〜1.24)であった。
・OSのサブグループ解析では、ほとんどの項目でアテゾリズマブが良好であった。
・PD-L1発現別にみると、PD-L1≧50%のHRは0.43(95%CI:0.49~10.78)、1~49%のHRは0.95(95%CI:0.59~1.54)、PD-L1<1%のHRは1.36(95%CI:0.93~1.99)であった。
・追跡期間を追加しても安全性プロファイルに変化はなかった。
(ケアネット 細田 雅之)