厚生労働省は9月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、「ゼビュディ点滴静注液 500mg」(一般名:ソトロビマブ[遺伝子組換え])の国内における製造販売を承認した。酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いCOVID-19患者が投与対象となる。海外第II/III相臨床試験(COMET-ICE試験)では、ゼビュディの単回投与で、重症化リスクの高い軽症~中等症のCOVID-19成人患者の入院または死亡リスクが有意に低下することが示されており、グラクソ・スミスクライン(GSK)が9月6日、特例承認の適用を求め申請していた。国内におけるCOVID-19治療薬としては、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブ、ロナプリーブに続く5例目となる。
ゼビュディは投与29日目までに24時間を超える入院または死亡を79%低減
ゼビュディは、GSKと米国・Vir Biotechnologyが研究開発を行う抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体。COMET-ICE試験に参加した1,057例の有効性に関する主要解析において、ゼビュディは投与29日目までに24時間を超える入院または死亡がプラセボと比べ79%低減し(補正相対リスク減少)(p<0.001)、主要評価項目を達成したことが報告されている。いずれかの投与群で1%以上の被験者に認められた有害事象の中で、プラセボ群よりもソトロビマブ投与群で発現率が高いものは下痢(ソトロビマブ群:2%[8例] vs.プラセボ群:1%未満[4例])で、いずれもグレード1(軽度)または2(中等度)だった。
また、
in vitro試験のデータでは、デルタ株、ラムダ株を含む懸念される変異株/注目すべき変異株に対し、活性を維持することが示されているが、臨床に及ぼす影響はまだ不明で、データ収集と解析が続いている。
ゼビュディの国内供給については、当面の間は厚労省が購入し、GSKに流通を委託する。医療機関には、GSKの登録センターに登録する方法でゼビュディが配分される見通し。
<ゼビュディ製品概要>
販売名:ゼビュディ点滴静注液 500mg
一般名:ソトロビマブ(遺伝子組換え)
効能又は効果: SARS-CoV-2 による感染症
用法及び用量:通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として500mgを単回点滴静注する。
(ケアネット 鄭 優子)