カボザンチニブとアテゾリズマブの併用療法が、転移を有する去勢抵抗性の前立腺がん(mCRPC)に対して良好な抗腫瘍効果を示すことが、米国・The University of Utah Huntsman Cancer InstituteのNeeraj Agarwal氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。
この試験はCOSMIC-021試験で、腎細胞がん、尿路上皮がん、肺がんなどを対象にした第I相b試験でる。今回はそのなかから、mCRPC(コホート6)の解析結果が報告された。
・対象:エンザルタミドまたはアビラテロンの治療歴があり、測定可能病変を有するmCRPC 132例
・試験群:カボザンチニブ40mg/日内服+アテゾリズマブ1,200mg 3週ごと
・評価項目
[主要評価項目]主治医判定による奏効率(ORR)
[副次評価項目]安全性
[探索的評価項目]バイオマーカー検索、独立評価委員会(BIRC)評価による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)
主な結果は以下のとおり。
・登録症例数30例の目標で試験開始されたが、2回の登録数拡大により今回の解析時(データカットオフ2021年2月、観察期間中央値15.2ヵ月)では対象が132例となった。
・登録症例の年齢中央値は70歳、グリソンスコア8以上が63%、ドセタキセル治療歴ありが25%、内臓転移ありが32%で、骨盤外リンパ節転移ありが60%であった。
・主治医判定によるORRは23%(CR2%/PR21%)で、病勢制御率は84%、奏効期間中央値は6.9ヵ月であった。
・内臓転移または骨盤外リンパ節転移あり(Vis/L)群101例のORRは、27%であった。これらの奏効率とPD-L1ステータスとの関連性は見い出されなかった。
・BIRCによるPFS中央値は全症例で5.7ヵ月、Vis/LN群では6.8ヵ月であった。OS中央値は全症例Vis/LN群ともに18.4ヵ月であった
・PSAが50%以上低下した症例割合は、全症例で23%、Vis/LN群では26%であった。
・有害事象による用量減量は、カボザンチニブ、アテゾリズマブともに43%で、有害事象による投与中止はカボザンチニブ18%、アテゾリズマブ14%であった。
・Grade3/4の主な有害事象は、高血圧、下痢、全身倦怠感が共に6.8%、肺塞栓が8.3%、膵炎6.1%、肝炎5.3%、腸炎3.0%、発疹3.0%などであり、高用量のステロイド剤投与が必要となった症例は17%であった。
mCRPCに対しては、今回のCOMIC-021と同レジメン(カボザンチニブとアテゾリズマブの併用)で、第III相試験CONTACT-02が進行中である。
(ケアネット 細田 雅之)