転移を有する悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブとイピリムマブの併用第III相試験CHeckMate743の3年追跡結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表され、良好な長期ベネフィットが示された。これが転移のある悪性胸膜中腫に対する免疫療法としては、初めての長期成績の報告となる。
・対象:転移のある切除不能な未治療の悪性胸膜中皮腫
・試験群:ニボルマブ(3mg/m2)2週ごと+イピリムマブ(1mg/m2)6週ごと
・対照群:シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド3週ごと6サイクル
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS )
[副次評価項目]全奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、盲検化独立評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)など
主な結果は以下のとおり。
・OS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群18.1ヵ月に対し、化学療法群は14.1ヵ月(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)であり、ニボルマブ+イピリムマブ群の優越性は引き続き示された。
・組織別にみると、上皮型中皮腫では18.2ヵ月に対し16.7ヵ月(HR:0.85)、非上皮型中皮種では18.1に対し8.8ヵ月(HR:0.48)、といずれもニボルマブ+イピリムマブで良好であった。
・その他のサブグループにおいてもすべてニボルマブ+イピリムマブ群で良好であった。
・PFS中央値はニボルマブ+イピリムマブ群6.8ヵ月に対し、化学療法群は7.2ヵ月であった(HR:0.92)。
・ORRはニボルマブ+イピリムマブ群39.6%に対し、化学療法群は44.0%であった。
・奏効期間はニボルマブ+イピリムマブ群11.6ヵ月に対し、化学療法群は6.7ヵ月であった。
・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)はニボルマブ+イピリムマブ群では80%、化学療法群では92%に発現した。
・TRAEのため治療中止となったニボルマブ+イピリムマブ群症例におけるOS中央値は25.4ヵ月で、ニボルマブ+イピリムマブ群全体に対しても劣っていなかった。
発表者は、3年追跡結果においても、ニボルマブとイピリムマブの併用は、切除不能悪性胸膜中皮腫の標準治療であることを確認できたとしている。
(ケアネット 細田 雅之)