EGFR変異陽性肺がん1次治療、オシメルチニブ+ベバシズマブ併用の結果は?(WJOG9717L)/ESMO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/06

 

 未治療の進行EGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞肺がん(Ns-NSCLC)に対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用療法はオシメルチニブ単剤と比べて、無増悪生存(PFS)を有意に改善できなかった。静岡県立静岡がんセンターの釼持広知氏が、日本で行われた「WJOG9717L試験」の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)プレジデンシャル・シンポジウムで発表した。

 WJOG9717L試験は、2018年1月~9月に21医療機関で行われた第II相無作為化試験。

・対象:未治療の進行EGFR変異陽性Ns-NSCLCで、Stage IIIB、IIIC、IVまたは外科的切除後再発なし、ECOG PS 0-1、有症状の脳転移がない20歳以上の患者
・試験群:オシメルチニブ(80mg/日)+ベバシズマブ(15mg/kg、3週ごと)
・対照群:オシメルチニブ単剤(80mg/日)
・評価項目
[主要評価項目]PFS(BICR評価による)
[副次評価項目]PFS(治験医評価による)、全奏効率(ORR)、全生存(OS)、有害事象(AE)

 主な結果は以下のとおり。

・122例が登録され、1対1の割合で併用群(61例)、単剤群(61例)に割り付けられた。
・追跡期間中央値30.4ヵ月時点で、PFS(BICR評価)は併用群22.1ヵ月、単剤群20.2ヵ月で有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86[60%信頼区間[CI]:0.700~1.060、95%CI:0.531~1.397]、片側p=0.213)。
・ITT集団のサブグループ解析で、併用療法が喫煙歴ありの患者(あり群HR:0.481 vs.なし群同1.444)、del19の患者(del19患者のHR:0.622 vs. Leu858Arg患者の同1.246)で、有益である傾向が示された。PFS中央値は、喫煙歴あり併用群32.4ヵ月、単剤群13.6ヵ月、del19患者で併用群NE、単剤群20.3ヵ月であった。
・ORRは、併用群82%(95%CI:72~92)、単剤群86%(77~96)であった。
・OSは、両群ともにNEで、HR:0.970(95%CI:0.505~1.866)であった。
・各群の投与期間中央値は併用群94.0週、単剤群57.6週であり、ベバシズマブは同33.4週であった。治療に関連する死亡の報告は両群ともになかった。
・全Gradeの肺炎の発現頻度が、併用群3.3%に対し単剤群18.3%であった。

 釼持氏は、「未治療のEGFR変異陽性Ns-NSCLC患者において、オシメルチニブ+ベバシズマブ併用療法の有効性を示すことができなかったが、喫煙歴のある患者やdel19患者の初回治療として有益である可能性と、併用療法はオシメルチニブ関連肺炎のリスクを低減する可能性が示唆された」とまとめた。

(ケアネット)