フランス・ロレーヌ大学のJ-C Marche氏らは、統合失調症患者における入院が必要な重度の心血管疾患の有病率について、調査を行った。L'Encephale誌オンライン版2021年5月20日号の報告。
2015年にフランスの精神科病院5施設に入院した統合失調症または精神疾患患者を対象とし、調査を行った。心血管疾患患者の定義は、精神科入院前の5年または入院後の3年に一般病院での入院対応歴(ICD-10コード)を有する患者とした。心血管疾患には、心筋梗塞、脳卒中、心不全、冠動脈疾患、末梢動脈疾患を含めた。高血圧、肥満、糖尿病などのリスク因子についてのデータを収集した。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者は、合計4,424例であった。
・心血管疾患と診断された患者は、203例(4.6%)であった。内訳は、冠動脈疾患93例(2.1%)、心不全86例(1.9%)、脳卒中49例(1.1%)であった。
・リスク因子の有病率は、高血圧11.3%、肥満9.7%、糖尿病7.8%であった。
・心筋梗塞患者の年齢中央値は57歳(四分位範囲:49~70歳)、糖尿病患者の年齢中央値は56歳(四分位範囲:48~66歳)であった。
著者らは「統合失調症患者は、早期に入院が必要な重度の心血管疾患を発症するリスクが高い。これには、リスク因子の有病率の高さが関連していると考えられる。心血管疾患およびリスク因子の早期スクリーニングと治療は、統合失調症患者の生命予後やQOLを改善するために重要であろう」としている。
(鷹野 敦夫)