認知症の急速な進行に関する原因調査

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/06

 

 急速進行性認知症(RPD)は、1~2年以内に急速な認知機能低下が認められ認知症を発症する臨床症候群である。RPDの評価に関する進歩は著しく、その有病率は時間とともに変化する可能性がある。ギリシャ・Attikon University HospitalのPetros Stamatelos氏らは、RPD診断の近年の進歩を考慮し、以前の結果と比較したRPD原因となる疾患の頻度を推定した。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌2021年10~12月号の報告。

 5年間でRPDの疑いによりAttikon University Hospitalに紹介された患者47例を対象に、医療記録をレトロスペクティブに検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・最も頻度の高い原因は、神経変性疾患(38%)であり、次いでプリオン病(19%)、自己免疫性脳炎(17%)であった。
・自己免疫性脳炎の頻度は、以前の結果よりも増加していたが、他の2次的原因については有意な減少が認められた。
・認知症発症までの平均期間は、神経変性疾患で9ヵ月、非神経変性疾患で5ヵ月であった。
・すべての患者における主な臨床所見は、記憶障害(66%)、行動と感情の障害(48%)であった。

 著者らは「神経変性疾患は、RPDの最も一般的な原因であり、非神経変性疾患よりも進行スピードは遅いようである。新たな診断方法の誕生により、自己免疫性脳炎の診断が可能となった。RPDの原因疾患の発見率が増加することにより、これまで一般的であった2次的原因は、1次的原因として診断されるようになっていると考えられる」としている。

(鷹野 敦夫)