聖路加国際大学の青木 裕見氏らは、ベンゾジアゼピン(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)睡眠薬の中止を考慮した(中止する場合、不眠症に対する認知行動療法[CBT-I]の有無にかかわらず漸減)、慢性不眠症患者に対する意思決定支援ツールの開発およびその受容性について評価を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2021年11月22日号の報告。
慢性不眠症に関連する文献を確認し、オプションの特定を行った。すでに実施されたシステマティックレビューおよびメタ解析の結果を用いて、BZD/BZRA睡眠薬の中止における2つのオプション(漸減のみによる中止、CBT-Iを用いた段階的な漸減)に関連するアウトカムを決定した。次に、国際基準(IPDAS)に従い意思決定支援ツールのプロトタイプを開発した。患者および医療提供者における受容性を評価するため、混合研究法を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・意思決定支援ツールのプロトタイプは、不眠症の説明、BZD/BZRA睡眠薬の継続または中止のオプション(中止する場合には、CBT-Iの有無にかかわらず漸減するオプション)、各オプションの長所と短所、価値の明確化で構成された。
・患者24例の報告では、許容できる言語(79%)、適切な情報(71%)、バランスの取れたプレゼンテーション(91%)を持っているが挙げられた。
・医療提供者20人の報告も、好意的なものであった。
著者らは「慢性不眠症患者に対するBZD/BZRA睡眠薬の中止を考慮した意思決定支援ツールは、患者および医療提供者に受け入れられたことから、BZD/BZRA睡眠薬の中止を推進するうえで役立つと考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)