塩野義製薬は1月31日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の経口薬(S-217622)について、軽症・中等症および無症候のSARS-CoV-2感染者へ投与した際の、ウイルス力価の変化量を検討した第II/III相試験のデータを発表した。それによると、実薬投与群におけるSARS-CoV-2陽性患者の割合が、3回投与後の時点で、プラセボ群と比べ最大80%減少したことを示したという。
S-217622は、塩野義製薬が北海道大学との共同研究により創製した3CLプロテアーゼ阻害薬。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はウイルスの増殖に必須の3CLプロテアーゼを有し、本治療薬は3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制する。
第II/III相試験では、軽症・中等症および無症候のSARS-CoV-2感染が確認された日本成人を対象に、本治療薬を1日1回、5日間経口投与した際の抗ウイルス効果ならびに安全性を評価した。その結果、実薬投与群におけるウイルス力価陽性患者(≧0.8Log10 [TCID50/mL])の割合は、3回投与後(投与開始4日目)の時点で、プラセボ群と比べ63~80%の減少を示した。本試験における高度な有害事象および重篤な有害事象は確認されず、忍容性が確認された。
プレスリリースと同日に開示された同社の2021年度第3四半期決算説明会資料1)には、第II/III相臨床試験のうちPhase 2a partの6日目までのデータが記載されており、本治療薬がオミクロン株を含め、幅広い株に対して活性を示したことも明らかにされている。
塩野義製薬では、2021年12月に商用に向けた本治療薬の初回ロットの製造を完了しており、本年3月までに100万人分の提供体制を構築し、4月以降は年間1,000万人分以上を生産予定。
(ケアネット 古賀 公子)