早期乳がん1次治療後の倦怠感の長期的な経過は個人差が大きい。フランス・Gustave RoussyのInes Vaz-Luis氏らが乳がんサバイバーにおける倦怠感の長期的な経過の特徴を調査した結果から、がん関連の倦怠感の多次元的な性質とその危険因子の複雑さが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月15日号に掲載。
本研究は、2012~15年に治療を受けたStage I~IIIの乳がん患者を対象とした全国的な大規模前向き研究(CANcer TOxicity)を使用して、倦怠感に関する詳細な縦断的解析を実施した。倦怠感は、診断時、診断後1、2、4年に調査し、ベースラインでの臨床的、社会人口統計学的、行動的、腫瘍関連、治療関連の特徴を入手した。
調査の結果、総合的倦怠感が重度だった4,173例において、その経過について3つの群が特定され、各群の重度の総合的倦怠感のリスク推定値は以下のとおりであった。
1)持続的にリスクが高い群:患者の21%
診断時94.8%(95%CI:86.6〜100.0)、4年後64.6%(95%CI:59.2〜70.1)
2)リスクが悪化する群:患者の19%
診断時13.8%(95%CI:6.7~20.9)、4年後64.5%(95%CI:57.3~71.8)
3)リスクが低いままの群:患者の60%
診断時3.6%(95%CI:2.5~4.7)、4年後9.6%(95%CI:7.5~11.7)
また、重度の身体的倦怠感、重度の精神的倦怠感、重度の認知疲労的倦怠感では、社会人口学的要因、臨床的要因、治療関連要因の影響は異なり、重度の総合的倦怠感とは分類が異なった。リスクが悪化する原因としては、うつ病などの感情的な苦痛、ホルモン療法などが示唆された。
著者らは「本研究の結果は、重度の倦怠感のリスクが高い早期乳がん患者を特定し、個別の介入を促進することに役立つ」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)