無症状の濃厚接触者、「抗原検査が陰性なら出勤」は正しい?

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/07

 

 家庭内感染により自身が濃厚接触者になっても、医療者は抗原検査で陰性が確認されているなどの一定の要件を満たせば出勤することができる1)。ところが抗原検査キットには、有症状の患者データを基に承認されている物2)3)もある。また、海外では無症状者のみを対象にスクリーニングすると感度や特異性が低いとの評判も抗原検査キットにはある。そこで、米国・Weill Cornell MedicineのBradley A. Connor氏らはニューヨークのある企業の従業員をスクリーニングし、無症状者のPCR検査と抗原検査の結果の有効性と推定精度を比較・分析した。その結果、従業員スクリーニングのプログラム参加者に抗原検査を繰り返した場合、新型コロナウイルスのPCR検査で真陽性と判定される推定精度が38%から92%に増加したことが示唆された。JAMA Network Open誌3月18日号のリサーチレターでの報告。

無症状者の抗原検査キット、1回目陽性で2回目陰性だった人の95%はPCR陰性

 この後ろ向き研究では2020年11月27日~2021年10月21日の期間、訓練を受けた担当者が参加者の中鼻甲介検体をスワブで採取し、抗原検査キットとしてQuidel社のSofia2 SARS Antigen Fluorescent Immunoassay(陽性一致率[PPA]:96.7%、陰性一致率[NPA]:100%)とAbbott 社のLumiraDx(PPA:97.6%、NPA:96.6%)、およびAbbott 社のBinaxNOW(PPA:84.6%、NPA:98.5%)を使用して検査を行った。ただし、新型コロナウイルス感染症の主要な症状をいずれかでも有する者はスクリーニングから除外された。

 また、抗原検査結果が陽性だった場合には、最初の検査結果から1時間以内に2回目の抗原検査用に鼻咽頭スワブ検体を提供した。さらに鼻咽頭スワブ検体は、確認用RT-qPCR検査のために、CLIA(Clinical Laboratory Improvement Amendments)認定された検査機関にも送られた。推定精度として、PCR検査も陽性だった2回目の抗原検査陽性の割合を算出した。

 無症状者の抗原検査の有効性と推定精度を比較・分析した主な結果は以下のとおり。

・抗原検査を受け、分析に含まれたのは17万9,127例で、年齢中央値は36歳(範囲:18~65歳)、男性が58%、女性が36%、6%が性別不明だった。
・2020年11月~2021年10月に実施された抗原検査の陽性率は0.35%(623例)で、彼らをPCR検査したところ、38%(238例)が真陽性、62%(385例)が偽陽性だった。
・抗原検査の陽性者623例のうち569例(91%)では2回目の抗原検査が行われた。一致した結果が得られた224セット(異なる2つの抗原検査で連続して陽性結果を得た)のうち、PCR検査で陽性だったのは207セット(92%)だった。
・最初の抗原検査が陽性で、2回目の抗原検査が陰性だった345例のうち328例(95%)はPCR検査で陰性だった。
・2回目の抗原検査の全体的な推定精度は94%だった。

(ケアネット 土井 舞子)