「ワクチン・検査パッケージ」ではPCR検査や抗原定量検査が推奨されているが、抗原定性検査の利用も可能とされ、9月からは薬局での販売も解禁されている。しかし、抗原定性検査は鼻腔ぬぐい液の採取が必要で使用に難しさがある点や、精度と活用方法を理解したうえでの使用が求められる点、未承認のキットも販売されている点など、課題も多い。日本臨床検査薬協会(臨薬協)は11月、抗原定性検査キットの適正な使用を促進し感染制御に資することを目的として、臨床検査振興協議会による一般消費者向けの啓発資料「医療用(体外診断用医薬品)抗原定性検査キットとは?」のウェブサイト掲載を受けて、ホームページ上で抗原定性検査キットの種類を「新型コロナウイルス感染症の医療用抗原簡易キット一覧」で公開している。
抗原定性検査の結果=診断ではないことを理解してもらう必要
政府の新型コロナウイルス感染症対策本部では、制度開始にあたり公開した「
ワクチン・検査パッケージ制度要綱」の中で、無症状者に対する抗原定性検査は、確定診断としての使用は推奨されないが、無症状者の感染者のうちウイルス量が多いものを発見することにより、事前に PCR 検査等を受検することができない場合にも対応する観点から、場の感染リスクを下げうるとの考え方に基づき、利用可能としている。
また、抗原定性検査の実施方法について詳細・留意点をまとめた「
ワクチン・検査パッケージ制度における抗原定性検査の実施要綱」では、飲食店やイベント主催者等が抗原定性検査を実施する際は、担当者の研修受講や陽性者が出た場合の紹介先としての医療機関との連携を求めているほか、結果は、あくまでもワクチン・検査パッケージ制度においてのみ用いられるものであり、受検者が新型コロナ感染者の患者であるかどうかの診断には用いることができないと明記されている。
抗原定性検査キットの購入から廃棄までの留意点をQ&Aで説明
臨床検査振興協議会による一般消費者向けの啓発資料「
医療用(体外診断用医薬品)抗原定性検査キットとは?」では、キットの購入から検査実施とその後の対応、さらに使用済キットの廃棄までのプロセスにおいて留意すべき点を、イラストを用いながら解説している。設けられている8つのQは以下の通り:
Q1医療用の抗原定性検査キットが薬局で買えるようになったと聞いたけど、抗原定性検査キットって何ですか?
Q2抗原定性検査ってPCR 検査と何が違うの?
Q3薬局には、「研究用」と書いてある検査キットも売っているけど「医療用」とは何が違うの?
Q4薬局で普通に買えるの?
Q5「医療用」の検査キットを買ってきました。でも、テレビで見たものと違うみたい…大丈夫なのかな?
Q6なんだかインフルエンザの時の検査みたいですね。鼻の奥をぐりぐりされて痛かった記憶があるけど、自分で出来るか不安です。
Q7結果が出たけど、どうしたらよいの?
Q8検査キットは普通に捨ててよいの?
抗原定性検査キットで製造販売承認を取得している製品を一覧化
「
新型コロナウイルス感染症の医療用抗原簡易キット一覧」では、2021年11月17日時点で製造販売承認を取得している抗原定性検査キット16製品について一覧化して示している。それぞれの抗原定性検査キットで少しずつ使い方が異なっていることから、うちいくつかの製品については、各社のキットの使用上の注意点に関する動画等が閲覧できるサイトへのリンクが貼られている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)