StageIII非小細胞肺がん(NSCLC)の逐次化学放射線療法(SCRT)後のデュルバルマブ維持療法を評価する第II相PACIFIC-6試験の結果が、欧州肺癌学会議(ELCC2022)で発表された。SCRT後のデュルバルマブ維持療法は、CCRT後と同様の安全性プロファイルを示した。
切除不能なStageIII NSCLCでは、CCRTが標準治療である。しかし、高齢またはフレイルな患者などCCRTに耐えられない可能性のある患者には、SCRTが代替とされる。
デュルバルマブのStageIII NSCLCのCCRT後における維持療法は、標準治療として欧米や日本のガイドラインでも推奨されている。今回のPACIFIC-6試験は、SCRT後のデュルバルマブ維持療法について、主に安全性を評価する多施設非盲検第II相試験である。PACIFIC-6試験の主要評価項目はデュルバルマブ投与開始6ヵ月以内に発生するGrade3/4の治療関連有害事象(TRAE)である。副次評価項目としては治験担当医による有効性評価(無増悪生存期間[PFS]、全生存期間[OS]、奏効期間、奏効率、肺がん死亡率)、さらなる安全性評価としての全AEと重篤なAEの発現率などが設定されている。
結果、117例がデュルバルマブの維持療法を受け、主要評価項目であるデュルバルマブ開始6ヵ月以内のGrade3/4のTRAEの発現は4.3%(5例)、そのうち非感染性肺臓炎は2例であった。AE発現率は全Gradeで76.9%、Grade3/4は18.8%であった。治療中止に至ったAEの発現は21.4%、そのうちTRAEは16.2%で発現した。
PFS中央値は10.9ヵ月、12ヵ月PFS率は49.6%であった。OS中央値は25.0ヵ月で、12ヵ月OS率は84.1%である。
発表者のアイルランド・Beaumont病院のJarushka Naidoo氏らは、被験者の大部分が65歳以上でPS2の患者も含んでいることから、PACIFIC-6試験は臨床疑問を反映していると述べた。とくに高度肺臓炎を含む毒性発現は、PACIFIC試験と同様であり、早期肺がんでの免疫治療の進展に興味深いデータを加えるものだとの見解を示している。
(ケアネット 細田 雅之)