4月27日に開催された政府の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が公開された。
本報告では、令和4年1月1日~3月31日までの間に自宅で死亡された5態様(例:自宅療養中に死亡、入院調整中などに死亡、死亡後に陽性確認など)の新型コロナウイルス感染症患者について、都道府県を通じ、年齢、基礎疾患、同居の有無、ワクチン接種歴、死亡に至るまでの経過などを調査、集計したもの。
【死亡者の概要】
対象者:計555人(男性352人、女性203人)
1)死亡時の年齢構成:80代(55%)、70代(24%)、60代(10%)
2)基礎疾患の有無:あり(64%)、なし(25%)、不明(11%)
3)ワクチン接種歴:2回(39%)、不明(38%)、未接種(16%)
4)単身・同居などの状況:家族などと同居(46%)、不明(40%)、単身(14%)
5)死亡直前の診断時の症状の程度については、軽症・無症状が43.4%、中等症が7.0%、重症が2.2%、不明または死亡後の診断が47.4%
6)生前に陽性が判明して自宅療養中に死亡した者は65.8%、死後に陽性が判明した者は34.2%
7)発生届の届出日が死亡日よりも前であった事例が36.2%、発生届の届出日が死亡日と同日であった事例が39.8%、発生届の届出日が死亡日以降であった事例が24.0%
8)自宅療養の希望ありが20.4%、希望なしが11.5%、不明者および死後に陽性が判明した者が68.1%
【具体的な死亡事例について(抜粋)】
・陽性が判明したが、本人や家族の意思により自宅療養を希望するケースがあった。
・救急搬送の搬入時の検査で陽性が判明するケースがあった。
・高齢であることや末期がんであることにより自宅での看取りを希望するケースがあった。
・入院調整や宿泊療養の対象となるも、直後に死亡するケースがあった。
・本人の意思により医療機関での受診や検査を希望しないケースがあった。
政府は、今後の対応として、保健・医療体制を強化しながら、オミクロン株の特徴を踏まえ、自宅療養者が確実に医療を受けることができる環境整備が重要であり、自宅療養者に対応する医療機関や発熱外来の拡充、重症化リスクのある患者を対象とした経口治療薬や中和抗体薬の迅速な投与体制の確保などの対応を実施していくことで、地域における医療体制の充実に取り組むとしている。
【参考:各都道府県の自宅療養への取組事例(抜粋)】
(健康観察の重点化)
・陽性判明後、当日届出があった患者の携帯電話あてにショートメッセージで夜間などの緊急時連絡先などを知らせるようにした。また、固定電話のみの患者への連絡を優先するようにした。
・保健所から電話連絡を取る対象を、重症化リスクの高い対象に重点化するため限定した。1月下旬からは40歳未満で基礎疾患などのない、ワクチン2回接種済みの方以外、2月上旬からは50歳未満で基礎疾患等の無い方以外の方に注力。
(外注による休日対応)
・自宅療養者と2日間連絡が取れなかった場合、平日のみ消防局職員の協力により自宅を訪問していたが、土日についても、別事業で委託している業者に訪問の協力を依頼することとし、毎日訪問できる体制に改めた。
(看取りの対応)
・コロナに感染する前から基礎疾患のため終末期で、家族が自宅での看取りを希望した場合には、在宅医、訪問介護と連携し、自宅看取りの対応を行った。
(ケアネット 稲川 進)