産後うつ病に対する母乳育児の影響については、あまり知られていない。また、産後うつ病のマネジメントにおいて、母乳育児の役割に関連するガイドラインは作成されていない。中国・Taizhou UniversityのMengjie Xia氏らは、産後うつ病と母乳育児との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、母乳育児が産後うつ病リスクの低下に寄与することが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2022年4月20日号の報告。
産後うつ病と母乳育児との関連について報告した研究をPubMed、Cochrane Library、EMBASE(~2021年12月)より検索した。プールされたオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・8研究より、1万8,570例が抽出された。
・母乳育児により、産後うつ病リスクが14%低下していた(OR:0.86、95%CI:0.77~0.94、I2=51.78%)。
・母乳育児の期間が1ヵ月超では産後うつ病リスクが37%低下し(OR:0.63、95%CI:0.47~0.79、I2=34.98%、p=0.19)、1ヵ月未満では6%低下していた(OR:0.94、95%CI:0.89~0.99、I2=0.00%、p=0.61)。
・母乳育児を行わなかった場合と比較し、母乳のみで育児を行った場合では、産後うつ病リスクが53%低下した(OR:0.47、95%CI:0.27~0.66、I2=0.00%、p=0.98)。
・部分的に母乳育児を行った場合と比較し、母乳のみで育児を行った場合では、産後うつ病リスクが8%低下した(OR:0.92、95%CI:0.86~0.98、I2=13.86%、p=0.31)。
・本研究のサブグループは、異質性の原因である可能性が示唆された。
(鷹野 敦夫)