IDH2変異の再発・難治AMLに対するenasidenibの効果(IDHENTIFY)/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/29

 

 IDH2変異(R172K変異)を有する再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)に対して、IDH2阻害薬enasidenibの投与は、従来の治療レジメンに比べて全生存期間(OS)が延長することが第III相試験(IDHENTIFY試験)の追加解析によって示された。フランス・Gustave RoussyのStephane De Botton氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。

 AML患者の8~19%がIDH2変異を有し、IDH2遺伝子変異にはR140Q変異(約75%)とR172K変異(約25%)があることが知られている。IDHENTIFY試験では、IDH2変異陽性の再発・難治性AML患者に対してenasidenib投与と支持療法を行っても、従来の治療レジメンに比べてOSの延長を認めなかった。今回は、対象患者をR140Q変異陽性(R140サブグループ)とR172K変異陽性(R172サブグループ)に分けて、enasidenibの効果について検討した。

・対象:60歳以上でIDH2変異陽性のAMLで、2次治療、3次治療に抵抗性または再発した患者、319例
・試験群:enasidenib+支持療法
・対照群:従来の治療レジメン(支持療法のみ、アザシチジン+支持療法、低用量シタラビン+支持療法、中等量シタラビン+支持療法)
・評価項目:
[主要評価項目]OS
[副次評価項目]奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)、奏効期間(DOR)、再発までの期間など

 主な結果は以下の通り

・319例の対象患者の中で、R140サブグループは229例(72%)、R172サブグループは88例(28%)であった。
・ベースラインにおける共存遺伝子変異に関しては、R172サブグループではDNMT3A変異(57%)とPUNX1変異(43%)が主であり、R140サブグループに比べてDNMT3A変異とTP53変異が多かった。
・R140サブグループ、R172サブグループとも、試験群は対照群に比べてORRが有意に高かった(ともにp<0.0001)。
・R140サブグループでのOS(中央値)は、試験群と対照群ともに5.7ヵ月であり、両群間に差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.70~1.24、p=0.612)。一方、R172サブグループでは試験群14.6ヵ月、対照群7.8ヵ月であり、試験群で有意なOS延長が示された(HR:0.59、95%CI:0.35~0.98、p=0.039)。
・安全性に関しては、両サブグループ間で差は認められなかった。

(ケアネット)