Luminal Aの低リスク乳がん患者、術後放射線療法を省略できる可能性(LUMINA)/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/20

 

 乳房温存術後、内分泌療法のみで治療された55歳以上のLuminal A(Ki67低値)、T1N0の女性乳がん患者では、5年局所再発リスクが非常に低く、放射線療法を省略できる可能性が示唆された。通常、術後放射線療法は局所再発リスクを減らすために実施されるが、急性および晩期毒性が報告されている。カナダ・マクマスター大学のTimothy Joseph Whelan氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)で前向き多施設共同コホート研究の結果を報告した。

Luminal Aで乳房温存術後、内分泌療法で治療された乳がん患者の再発率

・対象:Luminal A(ER≧1%、PR>20%、HER2陰性)、≧55歳、切除マージン≧1mm、組織学的グレード1~2、内分泌療法歴と乳房温存術歴のあるT1N0浸潤性乳管がん患者
・試験デザイン:International Ki67 Working Groupの推奨に従い、免疫組織染色法でKi67を検出、Ki67≦13.25%の患者を試験に登録し、放射線療法なしの群に割り当てた
・治療とフォローアップ:内分泌療法はアロマターゼ阻害薬あるいはタモキシフェンを5年以上投与。はじめの2年は半年に一度、以降は年に1回のフォローアップを実施、また年1回のマンモグラフィを実施した
・評価項目:
[主要評価項目]局所再発(LR:浸潤がんもしくは非浸潤がん)
[副次評価項目]対側乳がん、いずれかの再発、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)

 乳房温存術後、内分泌療法のみで治療された55歳以上のLuminal A(Ki67低値)、T1N0の女性乳がん患者の再発リスクを研究した主な結果は以下のとおり。

・2013年8月~2017年7月まで、カナダの26施設から500例が解析対象とされた。追跡期間中央値は5年。
・ベースライン特性は、年齢中央値が67歳、腫瘍径中央値は1.1cm、組織学的グレード1が66%、内分泌療法はアロマターゼ阻害薬が59%だった。
・5年時点のLR率は2.3%(95%信頼区間[CI]:1.3~3.8)で、事前に設定された境界値(<5%)を満たした。
・5年時点の対側乳がん率は1.9%(95%CI:1.1~3.2)、いずれかの再発率が2.7%(95%CI:1.6~4.1)だった。
・5年OS率は97.2%(95%CI:95.9~98.4)、5年DFS率は89.9%(95%CI:87.5~92.2)だった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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