転移を有する無症状の結腸がんに対する化学療法前の原発巣切除の効果/ASCO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/29

 

 転移巣切除不能で原発巣切除可能なStage IVの結腸がん患者に対し、化学療法実施前に原発巣を切除しても、全生存期間(OS)の延長は認められないことが無作為化比較試験の結果から示された。ドイツ・ハイデルベルグ大学のNuh N. Rahbari氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。

 切除不能の遠隔臓器転移を有するStage IV大腸がんで、原発巣に起因する症状がない症例において、化学療法前の原発巣切除が生存率をさらに高めるかは、議論の余地が残る。同試験は、化学療法前の原発巣切除の効果を、化学療法のみと比較する多施設共同無作為化試験として実施された。

・対象:切除不能な転移巣があり原発巣は切除可能な無症状のStage IV結腸がん(393例)
・試験群:化学療法前に原発巣切除を実施(PTR-CTx群、187例)
・対照群:化学療法のみ(CTx群、206例)
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)
[副次評価項目]局所腫瘍症状が現れるまでの時間(CTx群)、周術期の罹患および死亡率(PTR-CTx群)、化学療法の実施状況、有害事象(AE)など

 主な結果は以下のとおり。

・両群とも右側がんが45%前後、転移巣は95%が肝臓、転移部位数は1ヵ所が60%前後を占めた。
・ITT解析におけるOS中央値はPTR-CTx群16.7ヵ月、CTx群18.6%であり、両群間に有意な差は示されなかった(ハザード比[HR]:0.946、95%CI:0.740~1.209、p=0.658)。
・PTR-CTx群の24.1%、CTx群の6.4%では化学療法が投与されなかった。
・Cox回帰分析では、化学療法投与なし(HR:5.32、95%CI:3.55~8.00、p<0.001)、高齢(HR:1.013、95%CI:1.001~1.026、p=0.033)がOSの不良因子であった。
・重篤なAE(術後合併症を除く)の発現はPTR-CTx群10.2%、CTx群18.0%で両群間に差はなかったが、消化管関連の重篤なAEに関してはそれぞれ4.8%、10.7%であり、CTx群で有意に高い発現率を示していた(p=0.031)。

(ケアネット)