昭和大学 横浜市北部病院の沖野 和麿氏らは、不眠症治療におけるオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサントからレンボレキサントへの切り替えの影響について調査を行った。その結果、スボレキサントからレンボレキサントへの切り替えで、入眠障害の改善が認められたことを報告した。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月10日号の報告。
スボレキサントからレンボレキサントへの切り替えで12週間後の入眠障害に有意な改善
対象は、症状が3ヵ月以上持続し、スボレキサント治療を3ヵ月以上行っている慢性不眠症患者。対象患者をスボレキサント維持群またはスボレキサントからレンボレキサントへの切り替え群の2群に割り付けた。不眠症の4つのサブタイプ(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害)について調査を行った。両群における12週間後の改善効果を評価するため、ロジスティック回帰分析を用いた。
スボレキサントからレンボレキサントへの切り替えの影響について調査を行った主な結果は以下のとおり。
・対象患者は77例(スボレキサント維持群:34例、レンボレキサント切り替え群:43例)であった。
・両群間の睡眠障害を比較すると、レンボレキサント切り替え群は、スボレキサント継続群と比較し、12週間後の入眠障害に有意な改善が認められた(オッズ比:0.036、p=0.008、95%CI:0.003~0.415)。
・中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害に両群間の有意な差は認められなかった。
・スボレキサントからレンボレキサントへの切り替えによる重篤な副作用の発現は認められず、安全性および忍容性が確認された。
(鷹野 敦夫)