今後25年間の日本における認知症有病率の予測

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2022/01/04

 

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、富山県認知症高齢者実態調査の認知症有病率データと人口予測データを用いて、日本における認知症有病率の将来予測を行った。BMC Geriatrics誌2021年10月26日号の報告。

 まず、1985、90、96、2001、14年の富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いて、性別・年齢別の認知症推定将来有病率を算出した。次に、2020~45年の47都道府県それぞれの65歳以上の推定将来人口に性別年齢を掛け合わせ、合計することで認知症患者数を算出した。認知症の推定将来有病率は、算出された認知症患者数を47都道府県それぞれの65歳以上の推定将来人口で除することで算出した。また、2020~45年の47都道府県それぞれの認知症推定将来有病率は、日本地図上に表示し、4段階で色分けした。

 主な結果は以下のとおり。

・2020年の認知症推定将来有病率は、いずれの都道府県においても20%未満であったが、2025年には地方を中心とした5県で20%以上になると予測された。
【2025年に認知症推定将来有病率が20%以上になると予測される5県】
長野県:20.5%、島根県:20.5%、高知県:20.3%、富山県:20.0%、山口県:20.0%
・2030年には日本全国で20%以上になり、2035年までに42都道府県が25%以上になると予想された。
【2035年に認知症推定将来有病率が25%未満である予測される5都県】
 沖縄県:23.1%、東京都:23.4%、愛知県:24.7%、埼玉県:24.8%、神奈川県:24.8%
・2045年には、東京都(24.7%)を除くすべての道府県で認知症推定将来有病率が25%以上になり、その内12県は30%以上になると予測された。
【2045年に認知症推定将来有病率が30%以上になると予測される12県】
 秋田県:31.7%、宮崎県:30.9%、鹿児島県:30.8%、山形県:30.7%、長崎県:30.6%、
福島県:30.5%、熊本県:30.3%、島根県:30.3%、大分県:30.2%、青森県:30.1%
鳥取県:30.1%、高知県:30.0%

 著者らは「今後25年間で、日本における65歳以上の認知症有病率は、大都市圏を含むほぼすべての都道府県において25%以上になることが予測された」としている。

(鷹野 敦夫)