片頭痛の有病率や割合を日本人で調査

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/18

 

 片頭痛は、反復性の頭痛発作で特徴付けられる慢性疾患であるにもかかわらず、日本におけるその疫学や治療状況に関して、最近の研究は十分に行われていない。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本における片頭痛の有病率および治療状況を明らかにするため、健康保険協会員を対象に、レセプトデータおよび片頭痛・頭痛に関するオンライン調査のデータを用いて実態調査を行った。その結果、日本人片頭痛患者の80%が医療機関での治療を受けておらず、苦痛を感じながら日常生活を続けていることが明らかとなった。著者らは、革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要があるとしている。The Journal of Headache and Pain誌2022年6月23日号の報告。

片頭痛の有病率は女性が男性の4.4倍

 データソース(DeSCヘルスケアのデータベースおよびオンライン調査)の組み合わせによる独自のアプローチを利用した調査を行った。主要アウトカムは、片頭痛患者の総数・割合、片頭痛の全体的な有病率、年齢や性別で層別化された片頭痛の全体的な有病率とした。副次的アウトカムは、医療利用状況、臨床的特徴、頭痛症状とした。

 片頭痛患者の患者数や割合、有病率などを調査した主な結果は以下のとおり。

・データの母集団は、2万1,480人。
・可能性のある症例を含む片頭痛の全体的な有病率は、3.2%であった。
・片頭痛の有病率が最も高かった年齢層は、30~39歳であった。
・女性の片頭痛の有病率は、男性の4.4倍であった。
・医師の診断を受けていない片頭痛患者の割合は、81.0%であった。
・片頭痛患者の80%以上は市販薬を使用しており、処方薬を使用していた患者は4.8%であった。
・頭痛症状が重症であると考えていた患者は、約52.9%であった。
・片頭痛患者の大部分(72.9%)は、日常生活活動の障害程度が中等度~重度であると考えていた。

(鷹野 敦夫)