一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。
新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。
主な結果は以下のとおり。
・有効回答者5,865例中、MOHの有病率は2.32%(136例)であった。
・MOHは、女性および中年期により多く認められた。
・鎮痛薬の併用(多くはOTC薬)は、頻繁に認められた。
・MOH患者は、非MOH患者と比較し、日常生活の身体活動の悪化、中等度~重度の疼痛、片頭痛が認められた。
・MOH患者136例は、3つのクラスターに分類された。
・クラスタリングの重要な因子は、急性薬物使用の年齢および頻度であった。
著者らは「本研究は、日本で初めて実施されたMOHの有病率調査である。MOHの特徴は、世界各国の報告と同様であった。適切な頭痛治療に関する知識の習得は、重要であると考えられる。急性薬物使用の年齢および頻度は、既知の臨床サブタイプとは別に、社会的観点からのサブタイプのグループ化を行ううえで重要である可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)