藤田医科大学の岸 太郎氏らは、成人の維持期統合失調症治療においてアリピプラゾールの長時間作用型注射剤(アリピプラゾール月1回製剤、AOM)が経口剤(OARI)より有益であるかを検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、維持期統合失調症患者に対するAOMとOARIによる治療は、どちらも有効であったが、AOMのほうがより受容性が高いことが示唆された。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2022年7月5日号の報告。
AOM、OARI、プラセボのうち2つを含む二重盲検ランダム化比較試験のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・4研究(1,830例)を解析に含めた。
・26週間での再発率は、プラセボ群と比較し、AOM群(オッズ比[OR]:0.240、95%信頼区間[CI]:0.169~0.341)およびOARI群(OR:0.306、95%CI:0.217~0.431)ともに低かったが、AOMとOARIの間に有意な差は認められなかった(OR:0.786、95%CI:0.529~1.168)。
・すべての原因による治療中止率も、プラセボ群と比較し、AOM群(OR:0.300、95%CI:0.227~0.396)およびOARI群(OR:0.441、95%CI:0.333~0.582)ともに低かった。
・AOM群におけるすべての原因による治療中止率は、OARI群よりも低かった(OR:0.681、95%CI:0.529~0.877)。
・その他のアウトカムでは、AOMとOARIの間に有意な差は認められなかった。
(鷹野 敦夫)