高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/15

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。

カナダ介護施設60歳以上の入居者約6万人について解析

 研究グループは、カナダ・オンタリオ州の長期療養施設626ヵ所において、2021年12月30日~2022年4月27日の期間にSARS-CoV-2のRT-PCR検査を1回以上受け適格基準を満たした、60歳以上の入居者6万1,344例を対象に、検査陰性デザインによる症例対照研究を行った。1週間に少なくとも1回陽性となった入居者を症例とし、同じ週の検査がすべて陰性であった入居者を対照とした。
 主要評価項目は、RT-PCR検査で確認されたSARS-CoV-2オミクロン変異株の感染、入院または死亡。

 多変量ロジスティック回帰法を用いて、年齢、性別、地域、併存疾患、検査実施週、90日以上前のSARS-CoV-2陽性歴等で補正し、限界有効性(4回接種vs.3回接種)ならびにワクチン有効性(2回、3回および4回接種vs.未接種)を推定した。

4回目接種は、3回目接種よりオミクロン株感染予防をやや改善

 SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染陽性者は1万3,654例、陰性対照者は20万5,862例であった。

 ワクチン接種後7日以上を経過した4回目接種(95%がmRNA-1273を接種)の、84日以上経過した3回目接種に対する限界有効性は、症状の有無を問わない感染に関して19%(95%信頼区間[CI]:12~26)、症候性感染が31%(20~41)、重篤なアウトカムに関して40%(24~52)であった。

 ワクチン接種者の未接種者に対するワクチン有効性は、追加接種ごとに増加し、4回目接種では、症状の有無を問わない感染に関して49%(95%CI:43~54)、症候性感染が69%(95%CI:61~76)、重篤なアウトカムに関しては86%(81~90)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)