抗体薬物複合体SG、HR+/HER2-転移乳がんのOSを改善(TROPiCS-02)/ESMO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/09/14

 

 複数の治療歴があるHR+/HER2-転移乳がん患者に対して、抗体薬物複合体sacituzumab govitecan(SG)と医師選択治療(TPC)を比較した第III相TROPiCS-02試験において、SGが無増悪生存期間(PFS)を有意に改善(HR:0.66、95%CI:0.53~0.83)したことはASCO2022で報告されている。今回、事前に予定されていた全生存期間(OS)の第2回中間解析の結果について、米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で報告した。

 本試験におけるOSの第1回中間解析(293イベント発生時点)では、SGによる改善傾向がみられたもののデータがmatureしていなかった。今回発表された第2回中間解析(データカットオフ:2022年7月1日)は、390イベントの発生後に行われ、追跡期間中央値は12.5ヵ月だった。

・対象:転移または局所再発した切除不能のHR+/HER2-乳がんで、転移後に内分泌療法またはタキサンまたはCDK4/6阻害薬による治療歴が1ライン以上、化学療法による治療歴が2~4ラインの成人患者 543例
・試験群:SG(1、8日目に10mg/kg、21日ごと)を病勢進行または許容できない毒性が認められるまで静注 272例
・対照群:TPC(カペシタビン、エリブリン、ビノレルビン、ゲムシタビンから選択)271例
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央評価委員会によるPFS
[副次評価項目]OS、客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、患者報告アウトカム(PRO)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・OS中央値は、SG群(14.4ヵ月)がTPC群(11.2ヵ月)より3.2ヵ月長く、死亡リスクが21%低かった(HR:0.79、95%CI:0.65~0.96、p=0.020)。
・TPCに対するSGのベネフィットは、化学療法3ライン以上の症例、内臓転移症例を含む事前に規定されたサブグループで同様だった。
・SG群はTPC群と比較して、ORR(オッズ比:1.63、95%CI:1.03~2.56、p=0.035)、CBR(オッズ比:1.80、95%CI:1.23~2.63、p=0.003)が有意に高かった。
・DOR中央値は、SG群(8.1ヵ月)がTPC群(5.6ヵ月)より延長した。
・SG群では健康関連QOLが有意に良好で、疲労およびglobal health status/QOLスケールの悪化までの時間(TTD)をTPCより有意に延長した。
・本解析におけるSGの安全性プロファイルは、これまでの試験と同様であり、新たな安全性シグナルは確認されなかった。

 Rugo氏は、「本試験におけるTPCに対するSGの統計学的に有意で臨床的に意味のあるベネフィットは、前治療歴のあるHR+/HER2-転移乳がん患者に対する新たな治療としてSGを支持する」とした。

(ケアネット 金沢 浩子)

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