RAS/BRAF V600E野生型で、原発部位が左側の切除不能肝限局転移を有する大腸がんに対する1次治療は、FOLFOX/FOLFIRI+パニツムマブ とFOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブで無増悪生存期間(PFS)に差が認められなかった。無作為化第III相試験として実施されたCAIRO5試験の結果として、オランダ・University Medical Center UtrechtのMarinde Bond氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。
・対象: 転移巣に対して全身治療または局所治療を受けていない、RAS/BRAF V600E野生型で原発部位が左側の切除不能肝限局転移を有する大腸がん患者
・試験群:FOLFOX/FOLFIRI+ベバシズマブ 最長12サイクル(114例)
・対照群:FOLFOX/FOLFIRI+パニツムマブ 最長12サイクル(116例)
・評価項目:
[主要評価項目]PFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、毒性、R0/1切除率、術後の死亡率
主な結果は以下のとおり。
・中央値44ヵ月の観察期間において、PFS中央値は試験群10.6ヵ月、対照群10.3ヵ月で、両群間に差は示されなかった(ハザード比[HR]:1.12、95%信頼区間[CI]:0.84〜1.50、p=0.44)。
・ORRは、試験群の52%に対して対照群が76%と良好であった(p<0.01)。
・切除±アブレーション率は試験群と対照群でそれぞれ68%、67%(p=1)、R0/1切除±アブレーション率はそれぞれ58%、56%(p=0.79)であり、肝切除率に両群間の差は示されなかった。
・両群ともに切除±アブレーションが受けられた患者は受けられなかった患者よりも有意にPFSが延長していた(両群ともにHR:0.54、p<0.001)。
・Grade3以上の有害事象の発現は、試験群の52%に対して、対照群は69%と有意に多く(p=0.01)、術後合併症規準(Clavien-Dindo分類)でのGrade3以上の有害事象の発現は、試験群で21%、対照群で14%であった(p=0.30)。
(ケアネット)