双極性うつ病に対する補助療法の有効性と安全性~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/30

 

 双極性うつ病に対する補助療法の有効性および安全性は、いまだ明らかとなっていない。杏林大学の丸木 拓氏らは、双極性うつ病に対しラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の単剤療法の補助療法として使用された第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、双極性うつ病に対する第2世代抗精神病薬、ラモトリギン、リチウム、バルプロ酸による補助療法は、ベネフィットとリスクの両方を上昇させる可能性があるものの、重度の有害事象においては有意差がないことが示唆された。著者らは、双極性うつ病に対する補助療法は、患者の併存疾患および状態を十分に考慮し、意思決定を共有したうえで進めていくことが重要であろうとまとめている。International Journal of Bipolar Disorders誌2022年10月21日号の報告。

 対象研究は、2021年2月までに主要な電子データベースに公表された文献。2人の研究者が独立して、関連文献の選定およびデータ抽出を行い、Cochranの基準に基づいて方法論的質を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・選択基準を満たした研究は、5件であった。
・メタ解析では、以下のアウトカムに有意な差が認められた。
 ●抑うつ症状エピソードの寛解率(リスク比[RR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.01~1.50、p=0.04)
 ●抑うつ症状の改善(標準化平均差[SMD]:0.21、95%CI:0.09~0.34、p=0.001)
 ●QOLの改善(SMD:0.22、95%CI:0.06~0.37、p=0.005)
 ●研究期間中の有害事象発生率(RR:1.12、95%CI:1.03~1.22、p=0.008)
・自殺関連行動の発生率、研究期間中の治療中止率、躁転リスクは、単剤療法と補助療法併用との間に有意な差は認められなかった。

(鷹野 敦夫)