双極II型障害の急性うつ病エピソードに対する第2世代抗うつ薬療法~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/25

 

 双極II型障害(BD-II)に関するエビデンスに基づく治療ガイドラインは、限られている。メイヨークリニック医科大学のJin Hong Park氏らは、急性BD-IIうつ病における第2世代抗うつ薬単剤療法の有効性および安全性を推定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、急性BD-IIうつ病に対する第2世代抗うつ薬単剤療法は、良好な副作用プロファイルを有し、切り替え率の有意な増加を来すことなく、短期的に有効であることが示唆された。Psychopharmacology Bulletin誌2022年5月31日号の報告。

 2021年3月までに公表された研究を、データベースより検索した。対象研究には、ランダム化比較試験(RCT)のみを含めた。アウトカムは、治療反応率、治療期発現感情交代(treatment-emergent affective switch:TEAS)の割合、副作用による治療中止、すべての原因による治療中止とした。リスク比(RR)の算出には、Mantel-Haenszelランダム効果モデルを用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・3,301件の研究をスクリーニングし、全文レビューのため15件を特定した。
・選択基準を満たした研究は5件であり、その内訳は、二重盲検RCTが4件(533例)、非盲検RCTが1件(83例)であった。
・2件の二重盲検RCT(第2世代抗うつ薬単剤療法223例[ベンラファキシン群:65例、セルトラリン群:45例]、リチウム単剤療法113例[対照群])をメタ解析に含めた。
・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、治療反応率が類似していた(RR:1.44、95%CI:0.78~2.66)。
・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、TEASの割合に有意な差が認められなかった(p=0.76)。
・第2世代抗うつ薬単剤療法は、リチウム単剤療法と比較し、副作用による治療中止率が有意に低かったが(RR:0.32、95%CI:0.11~0.96、p=0.04)、すべての原因による中止率に有意な差は認められなかった。
・BD-IIうつ病に対する第2世代抗うつ薬単剤療法の短期的および長期的な役割を調査するRCTを、早期に実施する必要がある。

(鷹野 敦夫)