肺炎およびフレイルと認知症リスク~日本老年学的評価研究

最近、いくつかの研究において、フレイルの増加による認知機能低下および認知症のリスク増加に、肺炎が影響を及ぼす可能性が報告されている。大阪大学のParamita Khairan氏らは、肺炎歴とその後の認知症リスクとの関連を調査した。その結果、肺炎歴の有無にかかわらずフレイルおよびプレフレイル(フレイルの前駆状態)が、日本人高齢者の認知症リスク増加と関連していることが示唆された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年11月号の報告。
日本老年学的評価研究のプロスペクティブコホート研究に参加した65歳以上の日本人高齢者9,952人を対象として、2013年から2019年の期間にフォローアップを行った。認知症の診断は、公的介護保険レジストリより収集した。ベースライン調査実施(2013年)の1年前までを肺炎歴として収集した。潜在的な交絡因子で調整した認知症リスクのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。原因別ハザードモデルを用いて、競合リスク分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・6年間のフォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、939人であった。
・肺炎歴と認知症リスクとの関連は認められなかった(HR:1.20、95%CI:0.81~1.78)。
・プレフレイルおよびフレイルを有する高齢者は、認知症リスクが高かった。
●プレフレイル(多変量HR:1.75、95%CI:1.48~2.07)
●フレイル(多変量HR:2.42、95%CI:2.00~2.93)
・肺炎歴とフレイルを有する高齢者の認知症リスクは、最も高かった(多変量HR:2.30、95%CI:1.47~3.62)。
・肺炎歴がなくフレイルを有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.95(95%CI:1.66~2.28)であった。
・一方、フレイルがなく肺炎歴を有する高齢者の認知症に対する多変量HRは1.64(95%CI:0.68~3.99)であった。
(鷹野 敦夫)
関連記事

日本人高齢者におけるうつ病と道路接続性との関係~JAGES縦断研究
医療一般(2022/09/01)

日本人高齢者における認知症リスクと音楽活動
医療一般 日本発エビデンス(2021/05/21)

認知症まとめ【クローズアップ!精神神経 7疾患】
クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26)
[ 最新ニュース ]

5価髄膜炎菌ワクチン、単回接種で良好な免疫応答/Lancet(2025/04/03)

ARDSの鎮静、セボフルラン対プロポフォール/JAMA(2025/04/03)

日本人へのbempedoic acid、LDL-C20%超の低下を認める(CLEAR-J)/日本循環器学会(2025/04/03)

造血幹細胞移植後のLTFUを支える試み/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/03)

PTSDに対するブレクスピプラゾール治療、単剤療法と併用療法の有効性(2025/04/03)

非専門医とはすでに同等!?医師vs.生成AIの診断能力を比較(2025/04/03)

母乳育児は子どもの血圧低下に関連(2025/04/03)
[ あわせて読みたい ]
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)
今考える肺がん治療(2022/08/24)
あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)
「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08)
「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06)
Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)
診療所の売れ行きに直結する「概要書」の大切さ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第39回(2022/05/09)
医療マンガ大賞2021「たった一時間されど一時間」受賞者描き下ろし作品(ささき かずよ氏)(2022/04/18)
「急ぎ」のお宝承継をゲットできる医師は…?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第38回(2022/04/11)