帯状疱疹と脳卒中および冠動脈疾患の関連を検討したところ、帯状疱疹の既往が脳卒中および冠動脈疾患の長期的なリスクを高め、そのリスクは帯状疱疹発症から12年以上継続する可能性があることを、米国・Brigham and Women's HospitalのSharon G. Curhan氏らが明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2022年11月16日掲載の報告。
調査は、米国の3つの大規模コホート研究であるNurses' Health Study(NHS)、Nurses' Health Study II(NHS II)、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)を用いて行われた。解析対象は、これまでに脳卒中や冠動脈疾患の既往のないNHSの女性7万9,658例(平均年齢65.8歳)、NHS IIの女性9万3,932例(平均年齢46.2歳)、HPFSの男性3万1,440例(平均年齢69.5歳)の合計20万5,030例であった。
帯状疱疹、脳卒中、冠動脈疾患の発症の有無は、隔年のアンケートで聴取し、診療記録で確認した。Cox比例ハザード回帰モデルを使用して、帯状疱疹の既往の有無や経過年数から、脳卒中および冠動脈疾患の多変数調整ハザード比(HR)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・200万人年を超える追跡期間中、3,603例の脳卒中と8,620例の冠動脈疾患が生じた。帯状疱疹の既往は、脳卒中および冠動脈疾患の長期リスクの増大に有意かつ独立して関連していた。
・3つのコホートを統合して解析した結果、帯状疱疹の既往がない群と比べ、帯状疱疹の既往がある群の脳卒中の多変数調整HRは、帯状疱疹発症から1~4年で1.05(95%信頼区間[CI]:0.88~1.25)、5~8年で1.38(1.10~1.74)、9~12年で1.28(1.03~1.59)、13年以上で1.19(0.90~1.56)であった。
・同様に、帯状疱疹の既往がある群の冠動脈疾患の多変数調整HRは、帯状疱疹発症から1~4年で1.13(95%CI:1.01~1.27)、5~8年で1.16(1.02~1.32)、9~12年で1.25(1.07~1.46)、13年以上で1.00(0.83~1.21)であった。
・心血管疾患の複合イベントの多変数調整HRは、帯状疱疹発症から1~4年で1.11(95%CI:1.01~1.23)、5~8年で1.26(1.13~1.41)、9~12年で1.27(1.11~1.46)、13年以上で1.08(0.92~1.28)であった。
研究グループは、これらの結果から「帯状疱疹の既往は長期的な心血管疾患の発症に影響を及ぼすため、帯状疱疹の予防が重要である」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)