各抗うつ薬中断に関連する離脱症候群や重度の副反応の危険因子に関する情報は、不足している。イタリア・ベローナ大学のChiara Gastaldon氏らは、抗うつ薬が他の薬剤と比較し、離脱症候群の報告増加と関連しているかを評価し、重度の副反応の危険因子について調査を行った。その結果、抗うつ薬は、他の薬剤よりも離脱症候群の報告が多かった。著者らは、各抗うつ薬により離脱症候群の傾向が異なることや重篤な離脱症候群を引き起こす可能性のある患者の特徴を理解したうえで、抗うつ薬の使用および中止を検討する必要があるとしている。Drug Safety誌2022年12月号の報告。
個別症例安全性報告を集めたWHOグローバルデータベースであるVigiBaseを用いて、症例/非症例ファーマコビジランス研究を実施した。抗うつ薬に関連する離脱症候群の報告について、不均衡分析(報告オッズ比[ROR]、ベイジアン情報コンポーネント[IC]の算出)を行った。ブプレノルフィンを対照薬とし、抗うつ薬の各クラス内(選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI]、三環系抗うつ薬、その他の抗うつ薬)で相互に比較した。有意な不均衡が報告された抗うつ薬は、臨床的優先度の観点よりランク付けした。重度の副反応と重度でない副反応を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・抗うつ薬関連の離脱症候群の報告は、3万1,688件であった。
・23種類の抗うつ薬について、不均衡な報告が検出された。
・すべての他の薬剤と比較した抗うつ薬の推定RORは、以下のとおりであった。
●抗うつ薬全体:14.26(95%信頼区間[CI]:14.08~14.45)
●SSRI:13.65(95%CI:13.41~13.90)
●三環系抗うつ薬:2.8(95%CI:2.59~3.02)
●その他の抗うつ薬:17.01(95%CI:16.73~17.29)
・臨床的優先度ランキングに基づくと、パロキセチン、デュロキセチン、ベンラファキシン、desvenlafaxineで最も強い不均衡な報告が認められ、これらはブプレノルフィンと同程度であった。
・離脱症候群の頻度および重症度と関連していた因子は、男性、思春期、多剤併用、抗うつ薬治療期間の長さであった(p<0.05)。
(鷹野 敦夫)