肺臓炎発症例、オシメルチニブのリチャレンジの実施可能性/Eur J Cancer

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/10

 

 軽症肺臓炎を発症したEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブのリチャレンジを検証したリアルワールド試験の結果が発表された。

 オシメルチニブは、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療の標準だが、治療に影響を及ぼすオシメルチニブの有害事象として、薬剤性肺臓炎が挙げられる。オシメルチニブの適正使用ガイドでは、肺臓炎発症後は全例治療中止が推奨されている。一方、症例報告や後ろ向き試験では、肺臓炎発症後のオシメルチニブリチャレンジの実施可能性や有効性についての報告がある。ただし、リチャレンジの主要評価項目とした多症例の検証はなかった。

 和歌山県立医科大学の今地 美帆子氏らは、オシメルチニブの1次治療を受けた患者の多施設共同コホートから、肺臓炎を発症し同剤のリチャレンジを受けた患者を後ろ向きに検討した。主要評価項目は、リチャレンジ後の全Gradeの肺臓炎の発症率、副次評価項目は、オシメルチニブリチャレンジ後の治療効果であった。

 主な結果は以下のとおり。

・画像データが入手可能であった試験全体の患者452例中、肺臓炎を発症した患者は82例、そのうちオシメルチニブのリチャレンジを受けた患者は33例であった。
・上記33例の肺臓炎の内訳はGrade1が26例、2が6例、3が1例であった。
・オシメルチニブのリチャレンジ後、15%(33例中5例) が軽度の再発性肺炎を発現した。
・上記5例中3例は、初期肺臓炎と再発肺臓炎の画像パターンが類似していた。
・オシメルチニブリチャレンジ後の無増悪生存期間中央値は未到達であった。

 筆者らはオシメルチニブによる軽症肺臓炎発症患者に対し、オシメルチニブのリチャレンジは治療選択肢となり得る、と述べている。

(ケアネット 細田 雅之)