大阪・富永病院の菊井 祥二氏らは、日本における片頭痛とさまざまな精神的および身体的な併存疾患との関連を調査した。その結果、片頭痛患者では、そうでない人と比較し、精神的および身体的な併存疾患の有病率が高く、これまで日本では報告されていなかった新たな関連性も確認された。本研究結果は、片頭痛患者のケア、臨床診療、アウトカムを複雑にする可能性のある併存疾患に関する知見として役立つであろうとしている。BMJ Open誌2022年11月30日号の報告。
対象は18歳以上の日本在住者。国民健康調査2017年に回答した日本人サンプルのうち3万1人のデータを用いて、横断的研究を実施した。片頭痛患者378例および非片頭痛患者2万5,209例を特定した。1:4の傾向スコアマッチング後、非片頭痛患者を1,512例に絞り込んだ。片頭痛患者と非片頭痛患者における併存疾患の有病率および傾向スコアをマッチさせた有病率のOR(POR)は、精神的および身体的な併存疾患ごとに評価を行った。1ヵ月当たりの頭痛日数が15日未満の片頭痛患者と15日以上の片頭痛患者についても検討を行った。
主な結果は以下のとおり。
・片頭痛患者は、女性のほうが多かった。
・片頭痛患者は、非片頭痛患者と比較し、精神的および身体的な併存疾患の有病率が有意に高かった。
・有病率が5%超の精神的な併存疾患は、うつ病、心的外傷後ストレス障害、不安症であった。
・最も一般的な身体的な併存疾患は、胃腸障害であった。
・その他の身体的な併存疾患には、アレルギー、不眠症、月経前症候群(PMS)、貧血が含まれた。
・1ヵ月当たりの頭痛日数が15日以上の片頭痛患者は、PORの推定値が高い傾向が認められた。
(鷹野 敦夫)