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統合失調症の脳の老化~ENIGMAコンソーシアム

統合失調症は、生涯にわたる認知機能低下、加齢に伴う慢性疾患や早期死亡のリスク増加と関連している。英国・バース大学のConstantinos Constantinides氏らは、成人統合失調症患者における重度の脳の老化に関するエビデンスを調査し、ENIGMA Schizophrenia Working Groupによるプロスペクティブメタ解析研究にてそれらと臨床的特徴との関連を評価した。その結果、統合失調症患者における重度の構造的な脳の老化が示唆された。著者らは、統合失調症における脳の老化や介入による影響の臨床的意義に関するさらなる評価には、統合失調症とさまざまな精神的および身体的アウトカムの縦断的研究が役立つであろうと述べている。Molecular Psychiatry誌オンライン版2022年12月9日号の報告。
脳の予測年齢は、皮質厚および皮質面積の68の測定値、7つの皮質下体積、側脳室体積、総頭蓋内容積に基づく独立データにより導出されたモデルを用いて推定した。すべてのデータはT1強調MRI脳画像を用いて収集した。健康な脳の老化との違いは、脳の予測年齢と実年齢の差(脳予測年齢差、brain-predicted age difference:brain-PAD)により評価した。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、26件のコホート研究のデータより抽出された統合失調症患者2,803例(平均年齢:34.2歳、年齢範囲:18~72歳、男性の割合:67%)および健康対照者2,598例(平均年齢:33.8歳、年齢範囲:18~73歳、男性の割合:55%)。
・年齢、性別、部位で調整した後、統合失調症患者は健康対照者と比較し、brain-PADが平均3.55年(95%信頼区間:2.91~4.19、I2=57.53%)高かった(Cohen's d=0.48)。
・統合失調症患者において、brain-PADと特定の臨床的特徴(発症年齢、罹病期間、症状重症度、抗精神病薬の使用状況と用量)との関連は認められなかった。
(鷹野 敦夫)
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