概日活動リズムの乱れは、双極性障害の主な特徴の1つである。藤田医科大学の江崎 悠一氏らは、日常生活における光曝露が双極性障害患者の概日活動リズムの乱れと関連しているかを調査した。その結果、双極性障害の概日活動リズムに対し、日中の光曝露は良い影響をもたらし、夜間の光曝露は悪影響を及ぼすことが確認された。Journal of Affective Disorders誌2023年2月15日号の報告。
日常生活における光曝露と双極性障害の病状との関連を調査したコホート研究「APPLEコホートスタディ」に参加した双極性障害外来患者194例を対象に、横断研究を行った。対象患者の身体活動および日中の照度は、連続7日間にわたりアクチグラフを用いて測定した。夜間の寝室照度の測定には、ポータブル照度計を用いた。概日活動リズムのパラメータは、コサイナー法およびノンパラメトリックな概日リズム解析を用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・日中の照度中央値は224.5ルクス(四分位範囲:154.5~307.5)、夜間の照度中央値は2.3ルクス(同:0.3~9.4)であった。
・潜在的交絡因子で調整した多変量線形回帰分析では、日中の照度が高いほど、以下との有意な関連が認められた。
●amplitude(振幅)が大きく、最も活動的な連続10時間
●acrophase(頂点位相)の進行
●日内安定性が高い
●日内変動性が低い
・夜間の照度が高いほど、以下との有意な関連が認められた。
●相対的なamplitude(振幅)が小さい
●最も活動的でない連続5時間の発生の遅延
●日内変動性が高い
・本研究の限界として、横断研究であることから、本結果は光曝露が概日活動リズムを変化させることを必ずしも意味するものではないことが挙げられる。
(鷹野 敦夫)