統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応の性差~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/20

 

 オランダ・アムステルダム大学のBram W. C. Storosum氏らは、統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応が、性別や閉経状態により影響を受けるかについて、調査を行った。その結果、統合失調症治療において女性のほうが男性よりも抗精神病薬に対する治療反応が得られやすく、この影響は閉経状態やベースライン時の症状重症度(陰性症状)による影響を受けていなかった。Psychiatry Research誌2023年2月号の報告。

 統合失調症患者5,231例を対象とした抗精神病薬の短期プラセボ対照登録研究22件のデータを分析した。個々の患者データについて2段階のメタ回帰分析を行い、症状重症度の平均差と治療反応の差(30%超の症状改善)に対する性別および閉経状態の影響を調査した。ベースライン時の症状重症度(陰性症状)で補正した場合としない場合の両方で、分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・抗精神病薬による統合失調症治療は、女性において男性よりも、平均的な症状改善効果が高かった。
・性別ごとのNNTは、女性で6.9、男性で9.4であった。
・治療効果による性差は、閉経前の状態およびベースライン時の症状重症度(陰性症状)の影響を受けなかった。
・急性期抗精神病薬治療のエフェクトサイズに対する性別および年齢の影響があるものの、すべてのサブグループにおいて臨床的有効性が認められた。

(鷹野 敦夫)