食物繊維の摂取とうつ病・不安との関係~メタ解析

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/02/22

 

 食物繊維の摂取とうつ病との関連について、これまでの研究結果には一貫性が認められていない。イラン・テヘラン医科大学のFaezeh Saghafian氏らは、食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、食物繊維の摂取が増加するほど、成人のうつ病リスクに対し保護的に作用することが示唆された。Nutritional Neuroscience誌2023年2月号の報告。

 2021年5月までに公表された研究を、電子データベースよりシステマティックに検索した。食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を調査した18件の研究(横断研究:12件、コホート研究:5件、ケースコントロール研究:1件)をメタ解析に含めた。うつ病に関する研究は、15件が成人を対象に、3件が青少年を対象に実施されていた。不安症に関する研究は、適格研究が不十分なため、分析には含めなかった。

 主な結果は以下のとおり。

・食物繊維の総摂取量は、成人のうつ病オッズ比(OR)の10%低下(OR:0.90、95%信頼区間[CI]:0.86~0.95)および青少年のうつ病ORの57%低下(OR:0.43、95%CI:0.32~0.59)と関連していた。
・用量反応メタ解析では、成人において食物繊維の総摂取量とうつ病ORとの間に逆線形関係が認められ、食物繊維の総摂取量が5g増加するごとに、うつ病リスクが5%減少することが示唆された(OR:0.95、95%CI:0.94~0.97)。
・野菜からの食物線維の摂取(OR:0.73、95%CI:0.66~0.82)、水溶性食物繊維の摂取(OR:0.80、95%CI:0.71~0.91)とうつ病ORとの間に、有意な逆相関の関連が認められた。
・穀物および果物からの食物繊維、不溶性食物繊維とうつ病リスク低下との関連は、わずかであった。

(鷹野 敦夫)