統合失調症患者の多くは、初回治療で使用した抗精神病薬を中止する。初発統合失調症患者における治療中止の理由については、明らかになっていないことも多い。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnne Emilie Sturup氏らは、初発統合失調症患者における抗精神病薬治療の中止または継続の理由、それらの個人差、予測因子を特定するため、事後デザインによるプロスペクティブコホート研究を行った。その結果、抗精神病薬の中止の主な理由は副作用であり、継続の主な理由は効果であった。著者らは、抗精神病薬治療の中止および継続の理由を認識することは、統合失調症治療における意思決定の共有、中止する可能性が高い患者の特定、アドヒアランスの向上、安全な治療中止に有用であるとしている。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2023年1月24日号の報告。
対象は、2009~12年にデンマークの精神疾患早期介入チーム(early intervention teams:EIT)が治療を行った初発統合失調症患者。社会人口統計学的および臨床的変数はベースライン時に収集し、抗精神病薬の中止および継続の理由は3.5年間フォローアップし評価した。
主な結果は以下のとおり。
・初発統合失調症患者215例中、抗精神病薬の中止の理由を報告した患者は76例、継続の理由を報告した患者は139例であった。
・主な中止の理由は、「副作用」「以前よりも改善したので、服薬の必要がないと思った」であった。
・主な継続の理由は、「陽性症状に対してメリットがあると感じている」「他者から継続するよう言われた」であった。
・抗精神病薬を中止した患者は、継続した患者と比較し、次の特徴が認められた。
●ベースライン時の年齢が若い
●未治療期間が長い
●陰性症状が少ない
●社会機能が良好
●コンプライアンスが低い
●対処法に自信がある
●使用する抗精神病薬が少ない
(鷹野 敦夫)